あり得べからざるもうひとつの世界
鋼の錬金術師の二次創作テキスト/主にハイデリヒ×エドワード/ほのぼのからイロモノダブルパロ18禁までなんでもあり
リッヒはじめて物語(1)    /2005年10月19日(水)
・ついにやってしまったよR18
・時系列不明
・チェリーなリッヒと経験豊富なエド
・まだ途中です、(2)に続きます
・妄想した人:なんかやりすぎてるかもぱんだ
 今日も今日とてロケット研究ばかりのハイデリヒ。朝から大学内にある研究室に向かい、一日中計算と試作機のチェックを終え、疲れてしぱしぱする目をこすりながら真っ暗な中家路についた。

 夜遅い上に共同住宅なので、玄関ホールのドアをゆっくり、音を立てないように開ける。階段も静かに静かに上って、部屋のドアを開ければ金髪に金の瞳の同居人が暖かい笑顔で迎えてくれた。

「お帰り」
「ただいま」

 ドアを閉めて薄手のコートをすぐそばのコート掛けへ。ハイデリヒの同居人であるエドワードは食事の用意をしていてくれたらしく、コンロにはシチューの入った鍋。

「あれ、今日シチューなんだ」
「だって煮込むだけで楽だし美味いから」
「めんどくさがり」
「うっさい、メシ作った上に待っててやったんだから感謝しろよ」
「はいはいありがとう」
「何だよそれ」

 ふざけて軽口をたたくが、ハイデリヒは内心とても嬉しかった。夕食を作ってくれていただけでも嬉しいのに、食事を自分の帰宅まで待っていてくれた。
 研究室では食事の取れる時間に取れる人間だけが食べるということが多くて、最近では中々人と一緒に食事をすることがない。誰かと一緒に食事をするということだけでなく、その誰かがエドワードである、そのことが嬉しかったのだ。

 食事を作ってくれたエドワードに代わって、ハイデリヒがそれを皿によそい、遅い夕食の準備をする。それからふたりで向かい合って席について、他愛もない話をしながらスプーンを動かしていた。

*

 楽しい食事の時間も終わり、エドワードさんシチューだけはほんと上手に作れるよねなんて言いながらふたりで片づけをさっさと終える。そうしてもうやることも無く寝室でだらだらと寝支度をしていると、先にベッドに入っていたエドワードが唐突に眼をキラキラさせて聞いてきた。

「なあ、お前好きなやつ出来たんだって?」
「……なにそれ」
「研究室のやつらから聞いたよ」

 人の色恋沙汰のどこが楽しいのか。エドワードがあまりにも好奇心の強そうな眼で聞いてくるものだから、ハイデリヒは少し不快に思った。

 そもそもハイデリヒ自身、誰それに彼女が出来ただのデートしていただの、そういった他人の恋愛事に興味を持つタイプではなかった。そんなもの聞いたって自分のことではないのだからどうしようもない。ただそれでも友達に恋人が出来ること自体はめでたい事だからと祝福の言葉はよくかけていた。
 俺さ、彼女出来たんだ。そう、よかったじゃないか、おめでとう。にこにこ笑ってお祝いして、嬉しそうに笑う友人を見て、ああ恋人が出来るのってうらやましいな。そんな風に漠然とあこがれることはあったが、詳しいことは聞く気になれなかった。単純に、興味がなかった。

 そんな色恋についてはお堅い、というかドライなハイデリヒに好きな人が出来たという話は、研究室内でという限定付きだが一気に広まった。それはもちろんハイデリヒ自身の耳にもすでに入っている。なあお前好きな奴いるんだろ? そうやって研究室の友達が何人も声をかけてきて、その度に適当にあしらうのが大変だ。

「なあなあ、本当なのか? 教えてくれよー」

 そして研究室での問答を終えて疲れて帰ってきたら、ここでもこれだ。勘弁してよ、ハイデリヒはため息をついた。

「なんなんですかその話……」
「えーだって俺聞かれたもん。アルフォンスに好きな奴ができたらしいんだけど、相手知ってるかって」

 なあなあ、誰? エドワードは早く教えてくれとうずうずしているが、ハイデリヒには教える気なんて無かった。確かに好きな人が居るのは本当だ、だけどその相手の名前どころか、人を好きになったこと自体誰かに教える気なんて無かった。

「ノーコメントです。大体、そんなの根拠がないですよ」
「根拠ならあるけど」
「え」

 根拠が無い、で跳ね除けようと思っていたのに、思わぬところでの反論。何かしたっけ、とハイデリヒが一人固まっているとさらに追い討ち。

「だってさ、お前けっこう淡白じゃん。なのにここんとこよく一人でシてるみたいだし、なんか好きな奴でもできたのかなと思って」

 違ってた? そう言ってエドワードはにやにや、意地の悪いようないやらしい笑みを浮かべている。
 一人で、シている、って。なにそれ。ちょっと待って、え、それって、何、エドワードさん、見てたの、なんで見られちゃってるんだろう。
 思考停止して立ち尽くしたままだったけれど、シている、の意味が頭に入ってきて、しかもそれをエドワードに知られていたってことを理解した途端に。

「あれ、何赤くなってんの」
「っ、エドワードさんのせいですよ!」

 恥ずかしさに大声で叫ぶ、だけど顔が赤くなっているのはもうどうしようもない。ハイデリヒは赤い顔を隠すために俯いた。その様子が面白いのか、エドワードはまだにやにやしながらそれを見ていた。

「そんなに赤くなるなよ。何、あれ、もしかして、セックスしたことないとか?」
「セ……! ちょ、エドワードさん!」

 セックスという単語に過敏に反応して顔を上げると、緊張で気付かなかったのか、すぐそばにエドワードが立っていた。

 確かに自分はセックスの経験がまだ、ない。周りの友人のほとんどはもうすでに経験済みだったが、別にそれを気にしたことはなかった。恋愛に淡白なのと同様、誰かとセックスをしたいと思ったことがなかったのだ。
 ただ、それも人を好きになって、……エドワードを好きになって変わったのだ。最初はただの同居人だったはずなのに、いつしか彼のことが好きになってしまっていて。好きだと気付いたときにはもう気持ちも、体も抑えられなかった。
 エドワードのしぐさの一挙手一投足、全てが気になった。同時に、彼の仕草に、浅ましくも欲情した。夜になれば一緒に同じダブルのベッドに入り背中合わせで眠る。それは彼を同居人として見ていた頃は平気だったが、ひとたび彼を好きだと意識したらもうダメで、洗い立ての髪や体の匂い、背中に感じる体温、全てに体が熱くなった。だから夜中に度々一人でトイレに行き、処理をした。エドワードはそれに気付いていたのだろう。
 そうして自慰をするのはよくあることだったが、セックスしたことはない。エドワードとしてみたい、と思ったこともあるけれど、男同士でのやり方なんてどうすればいいかまったく分からない。エドワードに告白してもしセックスを許されても、どうすればいいのか怖くて、それから嫌われてしまうのではないかといつだってどきどきしていた。

「なあアルフォンス、セックスしたことないの?」
「……ない、です」

 目の前に立つエドワードの匂いが鼻について、頭がぼうっとしている。恥ずかしいと思いながらも、彼に誘われるままに答える。
 ハイデリヒの答えに満足したのか、にっこりとエドワードは笑う。さっきよりの意地悪そうなものではなく、熱っぽい、いやらしく誘う笑顔。義手ではない生の左手が伸びてきて、ハイデリヒの頬をゆっくりと撫でていく。その触り方に心臓が跳ね、体が熱くなる。

「じゃあさ、俺としてみようぜ」

 それは、あまりに魅力的な誘いだった。
2005/10/19(水) 01:27:10| R18| トラックバック(-) コメント:0
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